司法書士・行政書士 長谷川綜合事務所

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海外法人が代表社員となる「合同会社」設立

2026.4.8

サイン証明と実務スキームの全容

海外法人が日本の合同会社(LLC)を設立する場面は、近年増加しています。もっとも、この場合の最大のハードルが「海外書類の整備」です。印鑑制度のないアメリカ合衆国の法人を例に、実務上どのように添付する書類を構成すべきかを整理します。

 

法人が代表社員となる場合の基本構造

合同会社において、代表社員が「法人」である場合、通常の設立書類に加え、以下が必要となります。

  1. 業務執行社員の登記事項証明書国内法人の場合は会社法人等番号の提供により添付省略可)
  2. 職務執行者の選任を証する書面

 

問題は、これが海外法人である場合です。当然ながら日本の登記簿は存在しないため、「それに代わる証明」をどのように構成するかが重要です。

 

海外法人の場合のアプローチ

海外法人に関しては、本来であれば以下のような書類が個別に必要となります。

・設立証明書(Certificate of Existence)等

代表者の資格証明書

職務執行者の選任書

サイン証明書(印鑑証明書の代わり)

 

しかし、これらを個別に収集すると手間・コストともに大きく、整合性の担保も煩雑になります。そこで実務では、これらを一体化した「宣誓供述書(Affidavit)」を作成するスキームが有効です。

 

宣誓供述書に集約すべき4つの機能

一通の宣誓供述書に、以下の内容を記載します。

会社の存在証明:当該法人が実在すること

代表者の資格証明:誰に代表権があるか

職務執行者の選任:日本における責任者の指名(選任)

サイン証明:署名の真正性

 

特に重要なのはです。「この署名は私の名前であり、サインに間違いありません」という趣旨の文言を入れ、現地公証人の認証(Notary Public)を受けることで、当該書面自体が独立したサイン証明書として機能します。

 

印鑑制度がない国において

日本の商業登記においては、「印鑑の真正性」が重要な要素となります。ここで根拠となるのが商業登記規則第9条第5項第2号ロの規定です。

商業登記規則第9条第5項第2号ロの要件

法人の代表者が登記所に印鑑を提出していない場合、以下のセットが求められます。

  • 法人の代表者の資格を証する書面
  • 職務執行者の印鑑に相違ないことを保証した書面(保証書)
  • 当該保証書に押印した印鑑につき市区町村長の作成した証明書(外国法人の場合はサイン証明書)

アメリカのように印鑑制度が存在しない国では、この要件を以下の構造でクリアします。

 

実務スキームと真正性のロジック

  1. 印鑑保証書の作成:日本で作成した「会社実印」を保証書に押印し、代表者がサインをします。
  2. サインの連結:保証書上のサインが、先ほどの「宣誓供述書(サイン証明書)」のサインと一致することを確認します。
  3. 真正性の連鎖本国サイン宣誓供述書保証書日本の会社実印

 

この連鎖を構築することで、実質的に日本の印鑑証明制度と同等の機能を法理的に実現します。

 

印鑑届の実務運用

印鑑届についても、基本的な発想は同様です。

  • 委任状欄:サイン証明書と同じ「サイン」を記載。
  • 押印:委任状欄への押印は不要です

 

重要なのは、「サインの同一性による本人確認」です。

 

先例・実務上の位置づけ

このようなスキームは、参照先例として昭和35331日民甲第712号通達(本国官憲の証明書が得られない場合の代替書面)の考え方に依拠しています。

 

「形式的書類が完全に揃わない場合でも、実質的に同等の証明ができれば足りる」という発想に基づき、商業登記規則第9の要求事項を宣誓供述書というパッケージで充足させるものです。もっとも、運用は各法務局により細部が異なるため、事前の照会は欠かせません。

 

まとめ

海外法人が関与する登記は、「書類を集める業務」ではなく、条文要件を分解し、証明機能を再構築する業務です。

特に印鑑制度が存在しない国においては、商業登記規則第9を出発点として、「サイン」をどう使うかを検討します。


参照URL:

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/syougyou_tenpu_godo_02.html

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188610.pdf

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